コラム

「ミレーナ」というのをお聞きになったことがある方、いるかと思います。

ミレーナが合う方は、本当に楽になるので、「ミレーナってほんとすごいいいよ！みんなやった方がいいよ！」と言っている方もいたり、そう言いたくなるほどすごく快適になる方が多いです。

ミレーナてなにがそんなにいいんでしょうか。

どういう効果があって、どういう方に適している、など、分かりやすくまとめてみます。

ミレーナとは

「ミレーナ」というのは、過多月経や避妊を目的とした医療器具で、正式名称は「黄体ホルモン放出型子宮内システム（LNG-IUS）」です。この器具は子宮内に挿入されるT字型の柔らかいプラスチック製で、表面に黄体ホルモンがコーティングされています。それがじわーっと子宮に吸収されることで、生理時の経血量を減らしたり、生理痛が軽減されたり、高い避妊効果もあります。

ミレーナは2014年に保険適用となり、「月経困難症」や「過多月経」に対しては保険診療となります。

低用量ピルなどのホルモン剤は毎日内服する必要がありますが、ミレーナは一度挿入すれば最長5年間効果が続き、毎日薬を飲む必要がありません。局所的な効果のため、他の体の部分には影響を与えずに生理痛や経血量を改善できます。

子宮の中に入れて大丈夫？

「子宮の中に入れる」と聞くと心配される方がいらっしゃいますが、子宮の中に入れても違和感はありません。

入れる処置は、手術などではなく、一般的な内診台での診察と同様に、外来診察で行います。スムーズに挿入できる場合は数分で終わりますが、子宮口の状態などによっては稀に時間を要することもあります。

子宮口の通りやすさによって痛みが異なり、ほとんど痛みを感じない方もいらっしゃれば、痛みが強い方もおられ、かなり個人差があります。痛みが強い場合は座薬の鎮痛剤を使用することもできます。医療機関によっては麻酔をかけて行えるところもありますが、麻酔は保険適応とならないため、ミレーナ挿入も麻酔も全額自費となります。

費用は？

費用については、保険適用がある場合、自己負担額は1万円程度です。

避妊目的の場合は自費診療となり、クリニックにより異なりますが、約6〜7万円が目安です（当院では66,000円（税込み）です）。

副作用はある？

ミレーナを入れた直後は、若干下腹部に違和感があったり、少量の出血が続くことがあります。

痛みや違和感は短期間でおさまることがほとんどで、少量の出血は個人差ありますが1～3ヶ月程度でおさまります。

生理はなくなるの？

これも個人差があり、

・とても軽くなるけれど、毎月コンスタントに生理がくる

・毎月の生理、という感じではないけれど、たまに少量の出血がある

・もう全く生理も出血もなくなる

と、いろんなパターンがあり、どうなるかは使ってみないとわかりません。

いずれにしても、もともとの生理よりは圧倒的に楽になります。

がん検診や性交渉はできる？

ミレーナを入れていても、子宮頸がん検診や子宮体がん検診、超音波検査（エコー）などの婦人科検診も、性交渉も、これまで通りできます。

性交渉については、特に違和感もありませんが、万が一なにか違和感などある場合はご相談下さい。

どういう人にむいている？

ミレーナはすばらしい薬なのですが、すべての女性にとって最善の方法というわけではありません。

ミレーナが適する方は、

・生理痛が強い方

・生理の量が多い方

ですが、

・卵巣など子宮以外の場所に内膜症病変がある方

・PMS症状が強い方

などにはミレーナではない治療の方が適しています。

最適な治療法は個々の症状やライフスタイルによっても異なりますので、

ミレーナに興味があるけれど、自分にミレーナが適しているか分からない、、という方は、ぜひ一度ご受診の上ご相談下さい☺

Inaba Clinic院長・産婦人科専門医

稲葉可奈子